タクシーで祇園へ。萬養軒でランチ。何とかカウンターに座り、彼の
顔の直視を避ける。何とか伯父さんとはアカの他人であることを自分に
言い聞かせなくては行けない。早々と眼鏡を取り、顔全体が見渡せない
10cmの距離で彼の耳たぶだけに視線を固定して会話する。絶対、私も
27歳伯父さん似に気があると思われている。
27歳伯父さん似のイギリス留学中の思い出を楽しく聞きながら
ランチを過ごす。ここでの支払いもスマート。
顔以外ケチの付けようが無い。
ランチの後、八坂神社を周り、石段下を歩いて五条へ抜ける。
二人とも波長が合うのか、今日は全身黒の服。私は顔を見るのを
避けようと、1歩後ろを付いて行く。どう見たってデートと言うよりも
忍び合い(逢い引き)の言葉が当てはまる。そこで交わす言葉と言えば
「猫ってムカつく!」
彼のペットはハムスター。私は魚を飼っている。猫は敵!
お互いの価値観まで一致し、27歳伯父さん似はますます確信したんだと
思う。「そろそろ行きましょうか。」又タクシーに乗せられて京都駅へ。
タクシーの運転手さんに対しても紳士な彼は、爽やかに京都の魅力を
誉めて和やかに会話する。そして私の左手の甲を何度か撫でて来た。
困ったことになった
どうやって逃げ切ろうか…7年前の祇園のルミちゃんを脳内に
呼び寄せるが、「若いし、インテリだし、気も合うし、色白だし
おまけに金持ちだし、最近オナニーしかしてないし、オメー
贅沢言ってないでやっとけよ。」と黒いことしか囁かず、助けてくれない。